前島 賢『セカイ系とは何か ポスト・エヴァのオタク史』、購入
当初は買うつもりはなかった。本屋で見かけたら手にとってみよう、ぐらいの気持ちだった。ただ、発売日が今月の18日だということは、しっかりと記憶していた。
で、発売日当日、最寄の比較的に大きめの書店であるLIBRO(リブロ)某店に立ち寄る。途中下車してまで。で、無い。探したけど無い。青山ブックセンターみたいな美術書コーナーがあるような店のクセに無い。潰れてしまえ!こうなると何だか意地になって来て本屋をハシゴ。4軒ほど回った。で、無い。っていうか「ソフトバンク新書」って何だよ?w
そして失意の帰宅。パソコンを立ち上げる。
「今、在庫が無かったら何にもならないんだよ!だからみんな潰れちゃえ」と、全てのリアル書店に向けた理不尽な呪詛の詞をつぶやきながらAmazonでポチる。それが、今日届いた。
セカイ系とは何か ポスト・エヴァのオタク史 (ソフトバンク新書)
- 作者: 前島賢
- 出版社/メーカー: ソフトバンククリエイティブ
- 発売日: 2010/02/18
- メディア: 新書
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- 序章 セカイ系という亡霊
- 第1章 セカイの中心でアイを叫んだけもの 1995年―99年
- セカイ系=エヴァっぽい作品?
- メガヒットアニメとしての『新世紀エヴァンゲリオン』
- 90年代の象徴―震災、オウム、エヴァ
- 究極のオタク向けアニメとしての『エヴァ』
- オタク公民権運動と岡田斗司夫
- 『エヴァ』を観るのに必要なもの
- 内向きな作品としての『エヴァ』
- オタク向けアニメからオタクの文学へ
- 『エヴァ』評価をめぐる激しい対立
- 『エヴァ』をめぐる対立の焦点
- オタク世代論―オタク第三世代の登場
- セカイ系が名指そうとしたもの
- 第三次アニメブーム
- ファンタジーから現代へ―『ブギーポップは笑わない』
- 「ゲーム」から「小説」へ―『雫』
- 映像から活字へ―オタク文化の大変動
- 第2章 セカイっていう言葉がある 2000―03年
- オタク文化の自問自答の軌跡
- 萌えと美少女ゲームのゼロ年代―『ToHeart』
- 『ToHeart』から『ONE』へ
- 奇妙な恋愛マンガ――そのタイトルは――
- 『最終兵器彼女』の描く戦争
- 『エヴァ』が変えた戦争――ホワイトベースの不在
- 使徒とは何か?――敵の不在
- 『無限のリヴァイアス』の健全さの根源
- 使徒としての戦争――『最終兵器彼女』
- 『ほしのこえ』と『トップをねらえ!』の差異
- 『トップをねらえ!』の先行作参照
- 『ほしのこえ』の先行作参照
- 『イリヤの空、UFOの夏』――ウェルメイドなポスト・エヴァ作品
- 『イリヤ』のメタ構造
- 『最終兵器彼女』『ほしのこえ』『イリヤ』が排除したもの
- 物語消費とは何か?
- 『エヴァ』の物語消費からの決別
- なぜ自意識はセカイ系として名指されたのか?
- 物語消費からデータベース消費の移行により、物語は復活する
- 萌えとセカイ系――データベース消費の表裏
- 『ファウスト』――新本格のなかのポスト・エヴァ
- セカイ系としての西尾維新
- 『ファウスト』における虚数の青春
- セカイ系の誕生――ぷるにえブックマーク
- セカイ系という言葉の的確さ
- ポスト・エヴァのオタク文化を象徴する『涼宮ハルヒの憂鬱』
- 第3章 セカイはガラクタのなかに横たわる 2004―06年
- 第4章 セカイが終わり、物語の終わりが始まった? 2007―09年
- セカイ系の終わりと再興
- 宇野常寛の登場――『ゼロ年代の想像力』によるセカイ系の復活
- セカイ系=引きこもり?
- 東浩紀はセカイ系の擁護者か?
- ゲーム的リアリズムとセカイ系の合流
- セカイ系批判の困難さ
- 自己反省への批判――レイプ・ファンタジー
- 終わらない自己反省批判
- 後ろめたさの原因としての『エヴァ』
- 『エヴァ』と『ナデシコ』――外に出ること、内に止まり続けること
- セカイ系の拡散
- セカイ系はなぜ終わったか?
- セカイ系とメディアミックスの相性の悪さ
- セカイ系のサブジャンル化――自意識なきセカイ系『スマガ』
- セカイ系からの脱却を目指す『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』
- ポスト・セカイ系のオタク文化
- 対テロ戦争文学としての「現代学園異能」
- テロリストとしてのガンダム、カウンター・テロの少年少女たち
- 群像劇――アーバンファンタジーへの回帰
- 萌え四コマと空気系
- 自己言及性の自己肯定化
- 物語からコミュニケーションへ?
- 『ひぐらし』、『東方Project』――コミュニケーションから物語消費への回帰?
- ニコニコ動画―コミュニケーションとしての創作
- オタク文化の思春期としてのセカイ系――新たなるセカイ系の誕生に向けて
- あとがき
- 主要参考文献
- 主要参考作品
- アニメ
- 『トップをねらえ!』1988年
- 『新世紀エヴァンゲリオン』1995年
- 『機動戦艦ナデシコ』1996年
- 『THE END OF EVANGELION』1997年
- 『無限のリヴァイアス』1999年
- 『ほしのこえ The voices of a distant star』2002年
- 『涼宮ハルヒの憂鬱』2006年
- 『ヱヴァンゲリヲン新劇場版・序』2007年
- 『ヱヴァンゲリヲン新劇場版・破』2009年
- マンガ
- ゲーム
- 『零』1996年
- 『東方Project』1996年
- 『ToHeart』1997年
- 『ONE〜輝く季節へ〜』1998年
- 『AIR』2000年
- 『月姫』2000年
- 『ひぐらしのなく頃に』2002年〜2006年
- 『マブラヴ』2003年
- 『Fate/stay night』2004年
- 『マブラヴ オルタネイティヴ』2006年
- 『スマガ』2008年
ほんとうにザッとページをめくった感触だと「ゼロ年代のオタク史」というよりは「ゼロ年代のオタク論壇史」という感じ。
先日、かなり主観を交えて「ストパン」という言葉の初出を語る記事を書いたけれど、何だかそれと通じるものを感じたw
【関連リンク】
- 【著者のサイト】parallel loop