Eテレ「日本人は何を考えてきたのか 第1回 日本はどこへゆくのか ~福澤諭吉と中江兆民~」
※この記事は、はてなブログのベータテスト用に自分のはてなダイアリーの下記記事を転載したものです。
http://d.hatena.ne.jp/mame-tanuki+tiraura/20120109/TNkun
昨夜見たのだが、福澤諭吉と中江兆民を上手く対比させる見せ方で番組が作られていて、面白かった。
■対照的な福澤諭吉と中江兆民
米国で学んだ福沢諭吉は『ミッチェル地理書』のような欧米中心的な発展史観の影響を受け、文明へ至る発展段階的に観て世界の国々は優劣の差があり、日本は先行する欧米列強に追いつかなければならないという文明開化論を唱える。一方、フランスで学んだ中江兆民はルソーの平等主義から影響を受け、世界の国々は平等であり優劣の差があるとすればそれは道徳心にあり、日本は儒教をベースとした道徳を身に着けなければならないという非開化論を唱える。
番組での見せ方で面白かったのは、福澤諭吉と中江兆民それぞれが弁舌を振るった言論の場の対比だ。
mametanuki
まめ狸三田演説館のように上から下へ語る福沢諭吉の演説。仏国リヨンの広場でバルコニーの市長へ下から上へ語る労働者や日本での自由民権活動のように平らな床で語る中江兆民の演説。この対比は面白いw #etv
(2012/01/08 22:48:34)link
■中江兆民『三酔人経綸問答』
番組の中で印象深かったのは中江兆民の『三酔人経綸問答』。番組では再現ドラマまで仕立てていた。
- 作者: 中江兆民,桑原武夫,島田虔次
- 出版社/メーカー: 岩波書店
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『三酔人経綸問答』は思想の異なる3人の人物、南海先生と豪傑君と紳士君のよる議論形式で語られた文章。番組では、三人の内の誰の意見が正しいというのではなく三者三様異なる立ち位置から語られる意見を読んだ読者に判断が委ねられている点が『三酔人経綸問答』の魅力と紹介されていた。
これで思い出したのが、雑誌『Software Design』で連載されていた「三酔人電脳問答」。
「三酔人電脳問答」は、南方先生とHacker君と書生さん(連載当初は電話屋、株屋、マネージャetc…)の三人の議論形式でインターネット界隈の時事を語る記事。これの元ネタは、中江兆民の『三酔人経綸問答』だったのだなぁ。更に辿ると、弘法大師空海の『三教指帰』における亀毛先生(儒教)、虚亡隠士(道教)、仮名乞児(仏教)による討論に至るのだろうか。
utinoshuke
中根 翔この三酔人経綸問答は空海の三教指帰をヒントにして創ったのかな? #etv
(2012/01/08 23:04:26)link
■Eテレ「日本人は何を考えてきたのか」は全12回シリーズ
今回の番組は、来年までの一年以上に渡り全12回で放送されるシリーズの第1回とのこと。残り11回の放送が楽しみだ。
- 明治編 文明の扉を開く
- 大正編 「一等国」日本の岐路 ※2012年7月
- 昭和編 戦争と時代を生きる ※2013年1月
- 作者: なだいなだ,司修
- 出版社/メーカー: 福音館書店
- 発売日: 2002/09/20
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